粉飾決算・会計操作の見分け方
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指標

過去5年分はチェックする

3段階の判断

○:問題なし
△:会計操作(合法)の疑いあり
×:粉飾決算(違法)の疑いあり

×
営業CFの小計/営業利益
1〜1.6 0.5〜1
1.6〜2.1
< 0.5
> 2.1

棚卸資産変化倍率/売上高変化倍率

(売上高変化倍率=当期売上高/前期売上高
棚卸資産変化倍率=当期末棚卸資産/前期末棚卸資産)

0.952〜1.05 0.909〜0.952
1.05〜1.1
< 0.909
> 1.1

売上債権変化倍率/売上高変化倍率

(売上債権変化倍率=当期売上債権/前期売上債権
売上債権=売掛金+受取手形)

0.952〜1.05 0.909〜0.952
1.05〜1.1
< 0.909
> 1.1

仕入債務変化倍率/売上高変化倍率

(仕入債務変化倍率=当期仕入債務/前期仕入債務
仕入債務=買掛金+支払手形)

0.952〜1.05 0.909〜0.952
1.05〜1.1
< 0.909
> 1.1
粉飾決算・会計操作について

■粉飾決算と会計操作とは

損益計算書の利益において粉飾・会計操作が行われます。

利益 = 収益 − 費用

この式において、意図的にに収益を過大に計上し、費用を低く見積もって損益計算書上の利益を過大にあるように見せかけるのが粉飾決算や会計操作です。両者の違いは、粉飾決算はその利益操作が法律上認められない違法のもので、会計操作はその利益操作が法律上認められている合法のものです。

多くの投資家が最も注目するのが、損益計算書の利益であるからこの項目で利益操作するのです。主に利益操作は、営業利益の部分で行っています。

■粉飾決算の原因

(1)損益計算書の発生主義の会計原則

実際には現金のやり取りがなくても、その会計年度内に取引が発生したときは収益と費用を計上しなければならないという会計における発生主義の原則が、粉飾決算を行える1つの理由です。(収益の過大計上の温床)

典型的な方法は、現金のやり取りはないが売上取引が発生したとみなせる状況を意図的に架空に作り上げる方法です。また発生主義の原則は、その会計年度内で現金を支払っていても実際にその対価を受け取るのが来期以降にまで継続したりする場合、費用を来期以降にまで繰り越すことができます。(費用の過小計上の温床)

具体的には費用を有形固定資産や無形固定資産として資産化し費用化するのは長期間にわたって行うようにする方法です。

(2)貸借対照表の資産の評価方法

貸借対照表にある資産の期末時での評価方法によって、収益を増大させたり費用を減少させたりすることが可能となります。最も典型的なのが、棚卸資産の評価方法です。

売上原価 = 期首棚卸資産 + 当期仕入高 − 期末棚卸資産

この売上原価の式から、期末棚卸資産をできるだけ大きくなるように資産評価すれば費用となる売上原価を低く見積もることが可能となります。他にも収益、費用と関係する貸借対照表にある資産の評価方法によって大幅に収益、費用が変化させることが可能となります。

この貸借対照表の資産の期末時での評価方法がどのようなものであれ、実際には現金のやり取りは全くないということが重要なポイントです。

(3)連結決算の対象範囲

持ち株比率などが低く、一見すると連結決算外の会社であるが、取締役などの経営陣が関係者であるという会社(法律が改正されてこのような会社も連結決算対象の会社)を利用して不良資産を買い取ってもらったり、商品を買い取ってもらったりといった何らかの取引をすることにより利益を操作することが可能となります。

経営陣が会社の関係者であるかどうかを判断するのは非常に難しいし、財務諸表だけでは判断するのが難しいことがあります。なので、この粉飾方法を見破るのは最も困難です。

最低限の粉飾決算を見破る方法

■キャッシュフロー計算書と損益計算書の比較

実際の現金のやり取りに基づいて収益と費用を出している現金主義の会計原則というものがあります。

この現金主義の会計原則に基づいて作成されたのがキャッシュフロー計算書です。粉飾決算の原因から、それを見破る一つの方法はキャッシュフロー計算書(実際の現金のやり取りによる利益)と損益計算書(会計上の利益)を比較することです。

(1)損益計算書
@会計原則:発生主義
現金のやりとりがあってもなくても
収益、費用が発生したと判断されるときに計上する

A特徴:人為的な利益操作がしやすい

(2)キャッシュフロー計算書
@会計原則:現金主義
現金のやりとりだけがあったいう事実があったときだけ計上する

A特徴:人為的な利益操作がしにくい


それで、営業活動による利益をそれぞれ異なる会計ルールにもとづいてだされているのが損益計算書の営業利益 と キャッシュフロー計算書の営業C Fの小計(より正確には、営業C Fの小計−有形固定資産の購入代金)です。

本来ほぼ同じ利益であるので、だいたい一致しなければならないが有形固定資産の購入代金分を営業C Fの小計からひいていないから、おもに減価償却費(費用として計上されているが現金支出はない費用)の分だけ営業C Fの小計が増大するので、営業利益よりも営業C Fの小計の方が大きくなりやすいです。

〜〜 補足 〜〜

損益計算書の会計ルールでは、有形固定資産の購入代金はその年に全額費用化できるのではなく、一定期間内に少しずつ減価償却費として費用化されます。一方、キャッシュフロー計算書では、買ったその年に全額現金支出(有形固定資産の購入代金)として処理されることになります。

それで損益計算書の営業利益では、減価償却費がひかれていますが、キャッシュフロー計算書の営業C Fの小計では、有形固定資産の購入代金がひかれていません。なので、その分だけ営業利益と営業C Fの小計に差額があらわれます。

〜〜〜〜〜〜〜〜

また、売上高の増減率が高いと営業利益と営業C Fとの間に差が現れやすいです。売上高の増減率がほとんど0の場合は、

営業CFの小計/営業利益 = 1〜1.6

の範囲にあることが望ましいです。
売上高の増減率が高い場合でも

営業CFの小計/営業利益 = 0.5〜2.1

の範囲にあることが望ましいです。

利益操作をしている可能性が高い例は、営業利益は黒字なのに、営業C Fの小計では赤字であるという会社です。このような会社には投資しない方が無難です。

■棚卸資産、売上債権、仕入債務と売上高の変化の比較

売上高の変化倍率と同じように棚卸資産、売上債権、仕入債務も変化することが予想されます。なので、売上高の変化倍率よりも、異常に高かったり低かったりすると粉飾決算や会計操作の疑いがあると考えられます。

この3つの資産にだけ注目するのは、利益操作が最もよく行われるのがこの3つの資産だからです。これによる判断方法が一番上の方に記載してあります。営業C Fの小計と営業利益を比較する方法との違いは、以下のものです。

営業利益はいろんな資産変化の総和であり、この部分に注目した方法は、マクロ的な(大雑把な)粉飾決算・会計操作の見破り方です。

貸借対照表の個々の項目と売上高に注目した方法は、ミクロ的な(より細かい)粉飾決算・会計操作の見破り方です。

という違いがあります。

つまり、貸借対照表の個々の項目を操作した結果、営業利益と営業C Fの小計に違いがあらわれるがその違いはどこからあらわれてきたかを見るには個々の項目を見ないとわからないということです。

■注意点

ここで述べた粉飾決算を見破る方法は、必ずしも絶対でも完璧でもありません。あくまで最低限の粉飾決算を見破るための単なる目安でしかありません。

なので、基準を満たさなかったからといって必ずしも会計操作や粉飾決算をしているとは限らないし、基準を満たしているからといって必ずしも会計操作や粉飾決算をしていないとは限りません。

簡単に見破れる目安として利用し、疑わしき銘柄に投資する危険を避けるための最低限の基準と思ってください。



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